モバイル激動期において、八年間、NTTドコモで事業計画の策定や、新サービスの導入、全社プロジェクトのリード等の経験をさせていただき、その後、アビームコンサルティングの戦略コンサルタントとして、七年間、様々な企業様の事業計画、経営計画、成長戦略、新規事業立ち上げをご支援して参りました。
都度、全力を尽くし、どのプロジェクトでも、考え抜いた厚い最終報告書を作り、ご報告差し上げてきましたが、自分の仕事にどこか虚しい気持ちも抱えるようにもなっていました。クライアントの経営層からどんなにお褒めの言葉をいただいても、企業のリアルな成長に資するという、当たり前のバリューに対する手ごたえを感じられないときがあったからです。自分の仕事は会議室の中の仕事であって、実マーケットとは乖離しているのではないか。そんな気持ちから、コンサルファームを離れ、自ら起業し、戦略コンサルタントとしての仕事を続けながら、0からの事業立ち上げを体験することにしました。
起業テーマは、どうせならコンサルあがりらしくと、「社会課題をビジネスで解決する」としました。
コンサルティングファーム時代に、有名国立大学で講義したテーマでした。
 

対象として、「教育格差」という社会課題の解決を念頭に、こども向けの教育事業を選びました。いわゆる0→1フェーズは想像以上に困難で、思い描いたとおりに進んだ記憶はほとんどありません。目の前に広がるマーケットは、不合理で、現実的で、複雑で、人間的で、そして、実際は非常に合理的でした。
ただ、アイディア着想、立ち上げ、オペレーション策定、事業継承までの五年間の随所で、今まで理屈で学んだことにどんどんと血が通い始めた実感を得ることができました。甘い見通しを持たなくなる一方で、マーケットへの期待・希望は増えました。コンサルタントとしてのキャリアだけでは埋まらなかったピースがまさに埋まり、ようやく社会、事業、経営の要諦を捉え始めつつある気がしています。
今なら、企業のリアルな成長に資することができる。その実感を持って、再度、コンサルタントに専念し企業に尽くす挑戦を始めました。